
退職交渉で悩んでいる人「転職先は決まったが、円満退職できるかどうかが、とても不安。会社から期待されている分、揉めたくない。退職交渉は段取り次第と聞くが、失敗しないために、これだけは絶対にやってはいけないことを知っておきたい。」
こういった退職交渉に関する不安や疑問に、採用担当の筆者がお答えします。
転職活動において、内定獲得はゴールではありません。本当の山場は、円満退職を成立させるための退職交渉です。やるべきことと、絶対にやってはいけないことが明確なのに、その通りに行動せずに、自ら状況を悪化させてしまうケースは少なくありません。特に初めての転職や、現職で高い評価を得ている方は、慎重な対応が求められます。
本記事では、退職交渉をスムーズに進めるために、最低限頭に入れておくべき「絶対NGな行動5つ」を、採用担当者としての経験に基づき徹底解説します。
先日、こんなツイートをしました。
転職先が決まっても、在職中の方は退職交渉の壁が待っている。退職交渉は段取りが全て。手順ややり方を間違うと、会社と揉めて最悪、退職代行を使うなんてことに。そうならないようにも、転職エージェントのアドバイスは重要。リアルタイムで対応方法のヒントがもらえる。
— CowBoy | 代表取締役&採用担当 (@cowboy19620626) April 21, 2023
退職交渉を円満に進めるための心得
- 退職交渉は段取りが全てであり、手順を間違えると会社と揉める原因になる。
- 最悪の事態(退職代行の利用など)を避けるためにも、準備が重要。
- 転職エージェントのアドバイスはリアルタイムで具体的なヒントをもらえるため、非常に重要である。
- 退職交渉で、絶対にやってはいけないNG行動5つが具体的にわかる。
- 退職交渉は状況が変わりやすいため、転職のプロ(転職エージェント)からリアルタイムなアドバイスをもらうことの重要性がわかる。
- 筆者は採用担当者として、数多くの転職面接や書類選考、そして退職者側の視点・会社側の視点の両方を経験しています。
- 自身も転職経験が3回あり、50社以上の転職エージェントと転職サイトを利用してきました。
- 現役採用担当、そして3回の転職経験がこの記事の根拠です。
記事構成は、以下目次のとおりです。
では、一つずつ解説します。
退職交渉で、絶対やってはいけない5つのこととは?

退職交渉を円満に進める上で、避けて通るべき「やってはいけない行動」が5つあります。他にも注意点はありますが、まずはこの必要最低限の5つのルールだけでも必ず守りましょう。
これらのルールを破ってしまうと、会社との退職交渉で揉める原因となり、最悪の場合、円満退職が難しくなります。
退職交渉で絶対にやってはいけない5つのことは以下の通りです。
- 就業規則の確認をせずに、転職先を決めてしまう
- 直属の上長以外に、先に話してしまう
- ボーナスが出てからの退職に、こだわりすぎる
- 退職の意思表示を、はっきりとさせない
- 本音の退職理由を、正直に言ってしまう
どれも当たり前の基本事項に見えますが、多くの人がこの基本を守れずに、会社との関係を悪化させているのが現実です。この後、5つのNG行動について詳細に解説していきます。
就業規則の確認をしないと退職交渉は失敗する

退職交渉において、多くの人が見落としがちな最初の落とし穴が「就業規則の確認不足」です。法的には2週間前でも退職は可能ですが、円満退職のためにはその期間では不十分なことがほとんどです。
会社と揉めずにスムーズに退職し、転職先でも気持ちよくスタートを切るためには、就業規則に基づいた計画的な行動が不可欠です。
「円満退職」はあなた自身の未来のため
「退職交渉なんて、どうでもいい」と考えるかもしれませんが、世の中は広いようで狭いものです。特に同業他社への転職の場合、いつ前職の上長や同僚と再会するか分かりません。業界イベントや取引先で顔を合わせる機会は意外と多いものです。
だからこそ、円満退職は、あなたの今後のキャリアや人間関係を良好に保つために非常に重要であることを理解しましょう。最後の印象が悪ければ、思わぬところで足を引っ張られる可能性もゼロではありません。
やってはいけないこと:就業規則を無視した入社日決定
退職交渉で絶対にやってはいけないことの一つが、転職先の意向を「忖度(そんたく)」し、早すぎる入社日を勝手に決めてしまうことです。
就業規則を無視して退職日を決定するのは、絶対にNGです。会社のルールを破る行為は、信頼関係を著しく損ね、退職交渉をこじらせる最大の原因となります。
退職交渉の正しい順番:就業規則がスタート地点
退職交渉の順番は、「就業規則を確認する」ことが最初です。決して内定が出てから慌てて確認するものではありません。
転職活動を開始する前に、必ず自社の就業規則を確認し、退職に関する規定(例:退職希望日の何ヶ月前までに申し出るかなど)を把握しておきましょう。
転職先も、入社まで「1ヶ月程度の期間がかかる」ことは十分に理解しています。多くの会社の就業規則では、1ヶ月前には退職の連絡をするように定められていますが、現実的には以下の業務が必要となります。
- 退職の意思表示と面談
- 会社との退職日の相談・決定
- 残りの有給消化計画
- 担当業務の引継ぎ
- 取引先へのあいさつ回り
- 退職挨拶状の作成(必要な場合)
これらのプロセスを円滑に進めるためには、やはり「退職の意思表示から入社日までは最低でも1ヶ月(理想は2ヶ月)必要」と考えるのが現実的です。内定が出た時点で速やかに上司に報告できるよう、余裕をもったスケジュールで入社日を決定しましょう。
直属の上長以外に話してしまうと退職交渉は失敗する

退職交渉において、直属の上長に最初に報告することは、基本中の基本です。しかし、内定が出た喜びから、つい親しい同僚や先輩に話してしまう人がいます。これが、退職交渉をこじらせる大きな原因となります。
あなたのご家族は別として、転職活動は水面下、つまり「内緒」で進めなければいけません。情報が漏洩すると、会社からの信頼を失うだけでなく、不利な状況に追い込まれるリスクがあります。
【採用担当が解説】転職活動がバレないための方法とは?【転職エージェントを使え】
「報告順序」がもたらす致命的なリスク
同僚への「うっかり」が全社へ広がる危険性
退職の意思を、直属の上長より先に同僚や先輩に話すのは、最もやりがちな間違いです。どんなに信頼できる相手でも、「うっかり」話が広まれば、事態は一気にややこしくなります。
上長が人づてにあなたの退職を知ることは、指示系統を無視した行為とみなされ、信頼関係が崩壊します。そうならないために、必ず指示系統に従って、上長から順番に報告しましょう。
報告は「会議室」で「揺るぎない決意」と共に
報告する時期は、入社日の1~2ヶ月前が目安です。時期だけでなく、報告する時間や場所も重要です。
上長に話す際は、立ち話ではなく、必ず事前にスケジュールを確認し、会議室を押さえておくくらいの用意をしましょう。これは、あなたの退職の決意が真剣で、会社の規定やルールを尊重している姿勢を示すためです。
また、ご家族への最終相談も終え、自身の転職の決意が揺るぎなきものであることを再確認した上で、誠実に上長に伝えることが大切です。
引き止め対策:与える情報を最小限にする
直属の上長に退職の意思を報告した後、会社は必ず引き止め工作を行ってくるはずです。これを乗り越えて円満退職するためには、あなたの情報をできるだけ与えないことが重要です。
直属の上長に退職の意思は誠実に伝えましょう。しかし、退職理由はこと細かく言う必要はありません。また、転職先が決まっているかを聞かれても、答える義務はありません。
絶対に転職先の会社名や入社日は、言わないように気をつけてください。
転職先を伝えてしまうと、企業はその情報を元にカウンターオファー(給与増額など)を検討したり、あなたの転職先を妨害するような行動に出るリスクすらあります。情報を与えずに、粛々と退職手続きを進めることが、円満退職への近道です。
ボーナスが出てからの退職にこだわるのは失敗のもと

退職交渉において、ボーナス(賞与)が出てからの退職にこだわる求職者は少なくありません。しかし、そのこだわりが内定取り消しや転職先の信頼喪失につながったら、本末転倒です。
ボーナスは「もらえればラッキー」くらいに考え、円満退職と転職先の信用獲得を最優先すべきです。タイミングを調整しようと無理なスケジュールを組むのは避けましょう。
ボーナス獲得にこだわる「二重のリスク」
リスク1:内定取り消しと転職先への不信感
入社日を不自然に遅らせるなど、ボーナス獲得を目的とした行動は、転職先の企業にも伝わる可能性があります。転職先から見て「金銭にこだわりすぎる」「入社意欲が低いのでは」と判断されれば、最悪の場合、内定取り消しにつながる危険性があります。
また、円満退職を実現するためには、ある程度の犠牲や妥協も必要です。ボーナスという短期的な利益に固執し、長期的なキャリアや信頼を失うのは避けるべきです。
リスク2:有給消化の時間がなくなる
ボーナス支給日に合わせて退職日を設定しようとすると、退職交渉や業務引継ぎに費やせる時間がギリギリになる可能性があります。その結果、楽しみにしていた有給休暇を消化する時間がなくなるという事態も想定しておきましょう。
退職交渉で最優先すべき「引き継ぎ業務」の現実
退職交渉に入ったら、あなたが最優先すべきは、ボーナスや有給ではなく「業務の円滑な引継ぎ」です。引継ぎ担当者がすぐに決まらないことも想定し、以下の準備が必要です。
- 業務引継ぎの担当者を直属の上長と相談し決定する。
- 誰に引き継いでも問題ないように、詳細な業務マニュアルを作成する。
- 後任が決まらなければ、最悪の場合は直属の上長に引き継がなければならない。
引継ぎは、個人ではなく組織全体に引き継ぐのが、社会人としてあるべき姿です。直属の上長も含め、多くの人が時間を割いて関わるため、スケジュール調整は容易ではありません。
上長の時間を調整しながら引継ぎを進めると、退職日までの1ヶ月間はあっという間に過ぎます。このような状況にあるのに、「ボーナスをもらう」「有給を全て消化する」という欲張った要求は、交渉を難航させるだけです。まずは円満退職を最優先しましょう。
退職の意思表示をはっきりとさせないと失敗する

退職交渉において、直属の上長に意思を伝える際、曖昧な表現では失敗のもとです。はっきりと「退職の報告」である旨を強調しないと、引き止めにあったり、「不満があるなら改善しよう」などと言われたりして、本来の目的(円満退職)とずれてしまいます。
ここでは、退職の意思を明確に伝えるためのポイントと、その重要性について解説します。
「相談」ではなく「報告」で主導権を握る
上長へは「相談」ではなく、「報告」にしましょう。
はっきりと退職の意思を示さないと、上長はあなたを引き留めようと試みます。この状況では、あなたの転職への決意が揺らいでいると誤解され、交渉が長期化する原因となります。
具体的には、「〇月〇日付で退職させていただきたく、ご報告に参りました」といった明確な「報告」の言葉遣いにすべきです。これにより、上長はあなたの意思が固いことを理解し、引き止め以外の退職プロセスに移行しやすくなります。
退職日決定までのスムーズな流れ
上長が退職を受け入れてくれたら、次に正式な退職日の相談に移ります。
正式な退職日は、会社の都合(後任の選定や引継ぎ期間など)も考慮する必要があるため、あなただけで一方的に決定することはできません。しかし、転職先の入社日を念頭に置いて、あなたが主導権を握るのは言うまでもありません。
事前に就業規則を確認し、希望する退職日と入社日までの期間に余裕を持たせることで、スムーズな調整が可能になります。
退職の意思表示を曖昧な「相談」のような口調で話すと、上長に誤解を与え、お互いに不幸な結果を招きます。
ここはきっぱりと、しかし誠実な態度で意思を伝えるべきです。
あなたの固い決意を示すことで、上長も現実を受け入れ、協力的な姿勢に転じやすくなります。曖昧さを排除し、建設的な退職交渉を目指しましょう。
本音の退職理由を正直に言ってしまうと失敗する

退職する本当の理由は、会社に言わないようにしましょう。
本音を伝えても、上長は自分の会社の悪口を言われたと感じ、気持ちの良いものではありません。退職交渉の場は、感情をぶつけ合う場ではなく、円満に手続きを完了させるための場です。
お互いが気分よく残りの期間を過ごすために、退職理由はあくまでも「一身上の都合」として、ぼかしておくのが賢明です。
転職先を守るために「転職先は伏せる」を徹底
転職することを聞かれたら言っても構いませんが、転職先の会社名や入社日は絶対に伏せておいてください。
最悪の場合、現職の会社が転職先に連絡するなど、転職先に迷惑をかけることになりかねません。
なぜ退職するのかは必ず聞かれますが、「あなたがやりたいことを他に見つけたから」といった前向きかつ曖昧な理由に留めておくことです。退職理由の本音を言っても、あなたにも会社にも良いことはありません。
内定後のトラブルは「転職エージェント」が解決する
退職交渉は、上長の出方次第で状況が変わり、非常に大変です。内定後の退職交渉はトラブルが起きやすく、ノウハウがないとすぐに困ってしまいます。
このような状況で役立つのが転職エージェントです。エージェントは相手の出方次第で「今度はこう対応しましょう」といった具体的なアドバイスをリアルタイムで提供できます。
- 相手の出方に応じた、プロのアドバイスをもらえる。
- 現職を辞められず困るという最悪の事態を防げる。
内定後のことまで考えると、転職エージェントを使った方が断然お得です。内定までのことを考えがちですが、退職交渉の準備こそ最も重要です。
【採用担当が解説】内定後につまづかないための唯一の転職サービスとは?
特にリクルートエージェントのような業界最大手は、転職ノウハウの宝庫であり、サポート期間も3ヶ月と短期集中で臨むのに適しています。もちろん、転職支援サービスはすべて無料で利用できますので、登録しておいて損はありません。
まずは、あなたが今悩んでいることを相談することから始めるのが良いでしょう。最終手段として、退職代行を使えば確実に退職できますので、ご安心ください。
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