転職エージェントdodaのデータをもとに、転職理由の傾向を考察してみます。
転職理由ランキング考察
本記事で示すデータは、2016年10月~17年3月の半年間に「doda」サービスで転職活動を行った約3万5000件のデータをもとにITmediaビジネスが集計したものです。
転職理由ランキングを考察することで、実際に転職活動を行っている方の傾向を予測してみます。
このランキングは予想通りのものでした。
結果から言えば、ほとんどの方が転職理由の意味をわかっていません。
これでは転職成功は難しいといえるでしょう。
第一位から見ていきましょう。
採用担当者の経験から客観的にコメントしていきます。
【1位】ほかにやりたい仕事がある
【ほかにやりたい仕事がある】が第一位です。
前回に続いての1位です。
ほかにやりたい仕事をみつけたから転職するというのは、在職している会社ではできない仕事に挑戦するということですね。
これは本来の転職理由と言えるでしょう。
第一位の【ほかにやりたい仕事がある】というのは、今後も伸びていくでしょう。
今の仕事が将来なくなる可能性があることを察知した方はすでに行動しているはずです。
これから三年くらいで、さまざまな環境はガラッと変わるとみられています。
ITがこの10年くらいは、中心となっていました。
これからは、AIやIoTへとパラダイムシフトが起きます。
パラダイムシフトとは、今までの価値観がガラッと変わることを言います。
わかりやすい例としては、今までの三つの産業革命はパラダイムシフトですね。
直近ではIT革命がありました。
これにより、世の中はずいぶん変わりました。
買い物も今や当たり前にネットで行う時代です。
日本では、第四次産業革命への対応は、欧米に比べて遅れている感はあります。
過去に固執せずに、未来を見据えて、転職活動をする人は、相当数いるようです。
日本も捨てたものではありません。
未経験でもIT関連の仕事に挑戦したいという人がこれからも増えていくと思います。
【2位】会社の将来性に不安
第二位は【会社の将来性に不安】です。
在職している会社の将来性に不安を持っている方がとても多いことがわかります。
ただこれだけでは転職理由とは言えません。
単なる退職理由です。
将来どうしたいのかがこれではわかりませんね。
この転職理由だけで転職活動したのであれば、とても心配です。
【3位】給与に不満がある
第三位は【給与に不満がある】でした。
これについては、処遇改善を求めての転職ということですね。
有効求人倍率がとても高く、完全雇用となっている現在では、通常よりも転職のハードルが下がっています。
そのため、より高い給料を出す企業に転職する動きがあるのだと思います。
ですが、これについては今年くらいからどうなるか見えていません。
今はバブルのような状態です。
統計上は、10年ごとに起こることです。
そしてバブルは、いつかは必ずはじけます。
更に今はパラダイムシフトへの真っ最中です。
不安定な時代であるがゆえに、次への準備が大切だと思います。
第二位と同様で、このような転職理由は本当の意味での転職理由とは言えません。
転職活動をするときにはしっかりと転職理由を深掘りするのが原則です。
給与アップが転職の目的だとしたら、どんな仕事でもよいのでしょうか?
転職理由には目標が入っているべきだと思います。
給与アップだけが理由で転職活動しているとしたら、転職成功する確率は低いでしょう。
ランキングの過半数が転職失敗する可能性が高い
転職理由ランキングを改めて整理します。
本当の意味での転職理由か?それとも単なる退職j理由かを区別しました。
1位 | ほかにやりたい仕事がある | 転職理由 |
2位 | 会社の将来性に不安 | 退職理由 |
3位 | 給与に不満がある | 退職理由 |
4位 | 残業が多い/休日が少ない | 退職理由 |
5位 | 専門知識・技術を習得したい | 転職理由 |
6位 | U・Iターンしたい | 退職理由 |
7位 | 幅広い経験・知識を積みたい | 転職理由 |
8位 | 雇用形態を変えたい | 退職理由 |
9位 | 市場価値を上げたい | 転職理由 |
10位 | 土日祝日に休みたい | 退職理由 |
本当の意味での転職理由は4つしかありませんでした。
残りの6つは単なる退職理由を動機にして、転職活動をしたということです。
このことから推測できるのは、転職成功するのは求職者の4割くらいです。
転職理由を聞けば、転職がうまくいくかどうかがわかるからです。
面接で質問されるのはそのような意図があるからです。
全ての人が転職成功するわけではないので、転職成功率4割というのはリアルな数字だと思います。
残り6割の方は転職の目的、軸が明確にならなかった可能性があります。
転職先でうまくいっているかもしれませんが、それって結構偶然です。
転職活動には手順があります。
正しい手順で実行することが転職成功への最短距離です。