
転職理由をスキルアップにするのは、安易かなと悩む人「転職理由は、スキルアップだけで、よいのだろうか?決して嘘ではないのだが、転職面接で突っ込まれそうだな。ぶっちゃけ、問題ないのかくらいは、知りたいな。」
こういった疑問に、採用担当の筆者がお答えします。
転職活動でよく聞かれる「志望動機」や「転職理由」。中でも「スキルアップ」を理由に挙げる人は多いですが、説得力を持たせるには工夫が必要です。ただ「成長したい」では弱く、採用担当者に納得してもらうには、自分の経験や強みを整理し、具体的に説明できる状態にしておくことが重要です。本記事では、スキルアップを転職理由として伝える際の考え方と準備の仕方を解説します。
先日、こんなツイートをしました。
転職理由をキャリアアップ、スキルアップに上げる方が多いのも事実。それ自体はもちろんいいことだが、転職面接ではもう少し具体的に答えると良い。転職理由と志望動機も一貫性が重要。面接官には仕事をしている姿を想像してもらうことが転職理由を伝える目的の一つ。
— CowBoy (@cowboy19620626) August 17, 2021
転職理由をキャリアアップ、スキルアップに上げる方が多いのも事実。それ自体はもちろんいいことだが、転職面接ではもう少し具体的に答えると良い。転職理由と志望動機も一貫性が重要。面接官には仕事をしている姿を想像してもらうことが転職理由を伝える目的の一つ。
- 転職理由はスキルアップだけで、よいのか?
- スキルアップでも、転職面接でうまく乗り越えるためには?
- 企業とのマッチングに、注意
- 筆者は採用担当者で、数多くの転職面接や書類選考を経験しています。
- 転職経験も3回ほどあり、50社以上の転職エージェントと転職サイトを利用してきました。
- 採用担当経験、そして3回の転職経験がこの記事の根拠です。
記事構成は、以下目次のとおりです。
では、一つずつ解説します。
転職理由はスキルアップで大丈夫
結論「転職理由は未経験転職以外なら、スキルアップで問題ない」
転職理由の多くは「スキルアップ」です。年収など条件面だけを狙った転職は、運要素が強く、再現性が低いからです。
だからこそ「スキルアップを理由にする」こと自体は問題ありません。ただし、そのまま伝えるだけでは弱く、書類選考や面接で響きにくいのも事実です。
では、どうすれば「スキルアップ」という理由を、企業に納得感を持って伝えられるのでしょうか?
転職理由を深掘りして、伝わる形にしよう

「“スキルアップ”とだけ書いたら、やっぱり弱いですか?」

「はい。抽象的な言葉のままだと伝わりません。“どんなスキルを、どのように伸ばして、どう貢献したいか”まで掘り下げる必要があります。」
そのために有効なのが「なぜなぜ分析」での深掘りです。自分の転職理由を「なぜ?」と5-6回繰り返すだけで、動機の本質が見えてきます。
【採用担当が徹底解説!】転職理由をなぜなぜ分析で深掘りしよう!
採用担当者の視点を意識する
採用は企業にとって大きな投資です。だからこそ「この人はなぜ転職するのか」を気にします。
ただ「スキルアップしたいです」だけでは、採用担当者にとって情報不足です。もう一歩踏み込み、具体的なスキル名や、応募先での活かし方を説明することが大切です。
【スキルアップとリスキリング】2025年の転職業界トレンドを見据えて
動機を掘り下げる
「なぜスキルアップしたいのか?」を3回問い直すと、表面的でない本音が見えてきます。
スキルを具体化する
「どのスキルを」「どのレベルまで」「どう活かすか」を一文で言えると効果的です。
転職したいけど、スキルがない20代のためのスキル習得術とキャリアアップのヒント【採用担当解説】
応募先での貢献につなげる
「御社の◯◯分野で、△△スキルを活かして貢献したい」まで書ければ、説得力は大きく高まります。
転職エージェントを活用して不明点を解消する
求人票の条件や仕事内容には不明点も多いです。自分だけで判断せず、転職エージェントに確認しましょう。

「求人票に書かれていないことを聞いたら、失礼になりませんか?」

「むしろ確認したほうが安心です。エージェント推薦なら企業に悪い印象を与えず、疑問を解消できますよ。」
【採用担当解説】直接応募は本当に有利?転職エージェントのメリットを徹底解説!
キャリアの棚卸しでスキルアップの方向性を見つける
結論「キャリアの棚卸しを丁寧に行えば、自分のスキルアップの方向性が明確になり、転職理由に説得力が生まれます」
転職理由として「スキルアップ」を掲げるなら、その裏付けとしてキャリアの棚卸しが重要です。ここでは、棚卸しの効果・具体手順・書類や面接で使える見せ方まで、実務的に解説します。
キャリア棚卸しで得られる主な効果
棚卸しを行うと次の3点の効果が得られます。まずは概要を押さえましょう。
職務経歴書の質が上がる
過去の業務内容や成果を整理することで、求人ごとに「刺さる」職務経歴書を効率よく作れます。単なる経験の羅列ではなく、企業が見たい「成果」と「役割」が整理されるため、書類通過率の改善につながります。
強みと改善点が客観化できる
上司や同僚に褒められたことや、プロジェクトでの失敗体験を整理すると、強みと課題が見えます。面接での受け答えにリアリティが出るだけでなく、スキルアップのロードマップも描きやすくなります。
転職理由の説得力が高まる
棚卸しで得た材料(実績・数値・学び)を基に「なぜそのスキルを伸ばすのか」を説明できれば、採用担当にとって納得度の高い転職理由になります。単なる「伸ばしたい」ではなく、根拠あるストーリーになります。
キャリアの棚卸しの具体的な手順
キャリアの棚卸しは、実は手順どおりに進めれば、誰でもできる簡単なものです。
- 職務経歴を時系列でリスト化する
- 成果・失敗・学びをセットで整理する
- 上司や同僚から評価された点を書き出す
- その中から「活かしたい強み」「克服したい弱み」を抽出する
【採用担当が解説】キャリアの棚卸しを簡単に行う手順をマニュアル化
こうした手順を踏むと、職務経歴書の作成もスムーズになりますし、面接で具体的に答える準備が整います。

「確かに…整理すれば、自分の強みも弱みもはっきりしますね。」

「その通りです。たとえば“数字を追う営業力は強みだが、IT知識は弱い”と気づけば、“IT分野で営業力を活かしつつ知識を伸ばしたい”という転職理由が自然に作れますよ。」
時系列で、職務経歴をリストアップ
入社時期・職務・関わったプロジェクト・役割を、時系列でリストアップします。まずは、事実を書き出すことが先決です。
成果と数値を紐づける
その職務経歴で、どんな立場でどれだけ達成したかを定量的に書きます。職務経歴書では、定量的な記載が採用担当者に、共感と納得を得る大きな材料になります。
学んだスキルとレベルを明記する
- 習得した技術
- 習得したツール
- 担当した業務での深さ
上記は、学んだスキル。
- 顧客折衝:中級
- SQLでのデータ抽出:上級
上記は、レベルがどの程度かです。
強み・弱み・伸ばしたいスキルの3点を抽出する
上の手順で出た事実から、強み・弱み・将来伸ばしたいスキルを、3つ程度に絞ります。ここで絞り込んだものが、転職理由(スキルアップ)にそのままつながります。

「手順は分かりましたが、時間がかかりそうで躊躇します…」

「時間がかかっても、良いです。やっていくうちに精度が上がるので、まずは、一通り書き出してみましょう。」
職務経歴書・履歴書での具体的な見せ方
キャリアの棚卸し結果を、応募書類に反映する際のポイントを示します。工夫次第で、書類通過率が変わるほど、重要ポイントです。
履歴書・職務経歴書の役割は全く異なる
履歴書は、写真が代表的ですが、採用担当者に第一印象を与える書類です。志望動機や自己PRで、定性的であっても、熱意と方向性を伝えることが許されます。
一方で職務経歴書は、定量的なデータにもとづく実績を書き、応募企業に貢献できることの裏付けを書きます。
職務経歴書の書き方
職務経歴書では「成果(数値)」「あなたの役割」「使用したスキル」の3点を明確に記載します。求人票のキーワードと合わせて書き換えることで、採用担当の目に留まりやすくなります。
キャリアの棚卸しを省略すると何が起きるか
キャリアの棚卸しは、応募書類ではないので、省略しようとすればできます。しかし、キャリアの棚卸しを手抜きすると、以下のような問題が起きがちです。
- 職務経歴書が薄くなる
- 志望動機が抽象的になる
- 面接での受け答えが弱くなる
これらは、書類選考の見送りの原因になります。
【採用担当が解説】キャリアの棚卸しを手抜きするとどうなるか?【うまくいくものも】

「面倒だけど、やはりやったほうが良さそうですね…」

「その通りです。時間をかけて丁寧にやれば、転職活動全体の効率と結果が確実に上がりますよ。」
まとめ
キャリアの棚卸しは、スキルアップを転職理由にする場合の必須作業です。本記事で触れた「棚卸しの効果」「棚卸しの手順」「応募書類での見せ方」に目を通し、まずは現状を書き出すことから始めてください。必要なら、手順マニュアル記事を参考にしつつ進めると効率的です。
企業とのマッチングが最重要
結論「転職理由は、企業とのマッチングが全て」
転職理由を企業に伝える際の注意点です。
まずは、「企業が求めるスキルが何なのか?」の情報を転職エージェントから入手してください。
これが、転職活動の情報収集です。
立派な転職理由であったとしても、企業が求めていないスキルであれば、書類選考すら通過できません。
転職理由は、企業とのマッチングが全てです。
それは、職務経歴書や志望動機でも同様です。
転職理由・志望動機・職務経歴は、一貫性が求められます。
職務経歴書は求人ごとに「見せ方」を変える必要があります。
【採用担当が解説】知らなきゃ損する履歴書・職務経歴書を求人ごとに修正する3つの方法
求人ごとに修正する理由
業界・職種が同じであっても、求人が要求しているスキルは少しずつ違います。だからこそ、応募先ごとに職務経歴書を見直す必要があります。

「同じ業界なら、以前の職務経歴書をそのまま使ってもいいですよね?」

「いえ、企業ごとに求める人材像は違います。少しの修正が合否を分けることもありますよ。」
職務経歴書の作成手順を押さえる
求人ごとに修正するといっても、基本の作成手順は変わりません。土台となる職務経歴書を正しく作ることが重要です。

「求人ごとに直すのは分かりました。でも、毎回ゼロから作るのは大変そうです…」

「基本のフォーマットを押さえておけば大丈夫です。あとは強調ポイントを求人に合わせて微調整すればいいんです。」
書き方のコツを実践する
企業が求めていない職務経歴は「思い切ってカット」して構いません。必要以上に経歴を盛るのではなく、求人に合致した経験を中心に書くのが効果的です。
もし面接で「空白期間になっているけど?」と聞かれたら、「御社の求人票を拝見しまして、直接貢献できる業務ではないと判断し、省略させていただきましたが、よろしければ簡単にその期間の職務をお話ししましょうか?」と答えれば問題ありません。
面接官が知りたいのは「自社に貢献できるかどうか」であって、全ての職務経歴ではありません。
応募先の企業用に作成した職務経歴書に矛盾がないように、転職理由・志望動機を完成させましょう。
