
転職市場がAIやDXで大きく変化しそうで、不安だ。転職活動の方法もWEB化などで変わっていると聞くが、具体的に何から手をつけるべきかわからない。今、企業が求めている人材になるために、どんな準備が必要だろうか?
こういった疑問に、採用担当の筆者がお答えします。
コロナ禍を抜け出し、一見平穏に見える転職市場ですが、その水面下ではAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)による「産業構造の転換」がかつてない速度で進んでいます。この大きな変化を前に、「転職すべきか」「転職活動は何から始めるべきか」と不安を抱えている方も多いでしょう。本記事では、採用担当の視点から、現在の転職市場のリアルな変化を解説し、この時代を生き抜くために「今すぐ」取り組むべき転職準備の具体的なステップをご紹介します。
先日、こんなツイートをしました。
今こそ、転職準備をすべき。
・転職して「何を実現したいのか」をはっきりさせる
・上記の目的に沿って、転職市場にニーズがあるか調査
・自己分析
・履歴書・職務経歴書の作成
ここまでが転職活動の事前準備でとても大変。
時間があるときに少しずつ進めた方がよい。— CowBoy (@cowboy19620626) December 18, 2020
今こそ、転職準備をすべき。
- 転職して「何を実現したいのか」をはっきりさせる
- 上記の目的に沿って、転職市場にニーズがあるか調査
- 自己分析
- 履歴書・職務経歴書の作成
ここまでが転職活動の事前準備でとても大変。時間があるときに少しずつ進めた方がよい。
- AI/DX時代で、転職市場がどのように根本から変化したかがわかる。
- 転職活動の形式(WEB面接など)が、どのように一般化したかがわかる。
- 求人数が戻るのを待つのではなく、今すぐ取り組むべき具体的な「転職の事前準備」がわかる。
- 筆者は採用担当者で、数多くの転職面接や書類選考を経験しています。
- 転職経験も3回ほどあり、50社以上の転職エージェントと転職サイトを利用してきました。
- 現役採用担当、そして3回の転職経験がこの記事の根拠です。
記事構成は、以下目次のとおりです。
では、一つずつ解説します。
転職市場はどう変化する?「コロナ」から「AI/DX」への構造転換

結論「転職市場は、大きな産業構造の変化によって根本から変わっています。」
連日、特定の業界がダメージを受けていると報道されています。「求人がなくなってしまうのでは?」と心配するのも当然ですが、転職市場の変化は一過性のパンデミックによるものではなく、時代の大きな潮流によって引き起こされています。
AIに代替されるリスクが低い職種を見極める
求人数が減っているのは、コロナによる影響だけでなく、それよりも第四次産業革命(AI、DX、デジタル革命)が進行中であるための方が、大きいです。斜陽産業は大きな転換が必須なのに、現状維持のまま経営を続けている企業は当然、生き残りが難しくなります。
インターネット革命からさらに進み、今は第四次産業革命が進行中なので、キャッチアップ出来ない企業は生き残れません。
【採用担当が徹底解説!】転職しないほうがいい9つの業界とは?【業界選定の基準も】
AIに代替されるリスクが低い職種とは?

転職市場が冷え込んでいるわけではないと理解しました。では、将来もニーズが続く、AIに代替されにくい職種や業界を見極める基準は何でしょうか?

判断の基準は「人間にしかできない仕事かどうか?」です。具体的には、人との感情的なコミュニケーションを頻繁にとる必要のある職業や、**最終的な責任**を負うポジションです。例えば、高度な営業、介護士、看護師、医師、そして経営者などです。
例えば、スーパーやコンビニのレジ打ちの仕事は、AIによる無人レジ実験が進んでおり、近い将来、求人数は大幅に減るでしょう。逆に、ITエンジニア求人については、生成AIの進化に対応できる人材が求められ、人手不足が続いています。
将来もAIに置き換わる可能性が少ない業種・職種を目指しましょう。判断の基準は「人間にしかできない仕事かどうか?」です。
例えば、営業・介護士・看護師・医師など人とのコミュニケーションを頻繁にとる必要のある職業です。経営者、政治家は人間にしか責任が取れませんので、AIに置き換わることはないでしょう。
【エンジニア歴15年の筆者が断言!】プログラミングはAIで自動化される?
成長産業への業界ずらしと市場把握の重要性
あなたの今の業界は「自動化」される可能性はないでしょうか?もしもその可能性があるのであれば、早めに成長産業への業界ずらしを検討しましょう。
【スキルアップとリスキリング】2025年の転職業界トレンドを見据えて
転職エージェントを利用して市場の動向を把握する

自分の業界の将来性に不安があります。客観的に見て、どの業界が伸びそうで、どこに転職すべきかを誰に聞くのが一番正確ですか?

転職市場の最新動向を把握しているのは、転職エージェントです。特にパソナキャリアなどの大手エージェントは、どんな業界が伸びそうかを理解しています。まずは客観的な意見を聞くために相談するのが無難です。
転職エージェントに相談することで、今のあなたのスキルがどの成長産業で通用するかという具体的なアドバイスを得られます。
【2025年版】転職活動の疑問解決!注目業界トップ10と避けるべき業界を徹底解説
【採用担当が解説】転職の軸が明確なら【業界はなくなる前提で選ぶべき】
転職活動の形式はどう変化した?WEB面接の一般化

コロナ禍で急速に普及したWEB面接は、もはや特別なものではなく、転職活動の「新しい標準」となりました。この変化は、求職者にとって大きなメリットをもたらします。
会社説明会と転職面接のWEB化
WEB面接は、対面で話すことの制限から生まれたものではなく、企業の効率化と採用範囲の拡大のために一般化しました。直接会社に訪問する機会を減らし、なるべくリモートで対応するようになっています。
WEB面接のメリットと必須となるITリテラシー

WEB面接は便利ですが、パソコン操作が少し苦手です。面接はスマホでも対応できますか?

WEB面接は、パソコンのカメラとマイクでZoomなどのアプリを使って行われるのが一般的です。スマホでも可能ですが、画面共有や安定性の観点からパソコンが推奨されます。転職活動をする方にとって、基本的なITリテラシーは今や必須のスキルとなっています。
転職活動で大きく変わるのは、会社説明会と転職面接です。どちらもWebツールを使って、一方的な配信をしたり、双方向で会話をしたりすることが可能です。WEB面接をスムーズに行えることは、「デジタルに強い人材」という好印象にも繋がります。
【WEB面接の完全攻略】準備・手順・マナー・トラブル対処法を採用担当者が徹底解説
今こそ転職を成功させるためにすべき「事前準備」

求人数が安定していない時期だからこそ、事前準備が最も重要です。事前準備までしておけば、求人数が増えてきたときにすぐに応募可能となり、他の求職者より一歩リードできます。先手先手を打っていくことは、仕事と同じことで転職活動でも重要です。
転職の軸の明確化とキャリアの棚卸し
転職活動では、事前準備が最も大変であり、その中核をなすのが「転職理由・転職の軸の明確化」と「キャリアの棚卸し」です。
「退職理由」から「転職の軸」への昇華
なぜ、転職をするのでしょうか?それを言語化する作業が「転職理由・転職の軸を明確」にすることです。転職失敗する人の大半は「退職理由」が明確になっただけで、転職活動を始めてしまうパターンです。
転職の軸が明確にならないと、どんな業界・職種を目指すべきかが決まりません。転職して「どんな自分になりたいのか?」をまずは言語化しましょう。
【採用担当が解説!】転職の軸がブレた時、確認すべき3つのポイントと対策とは?
転職理由・転職の軸が明確になって初めて、転職活動を開始すべきです。
【採用担当が徹底解説!】転職理由をなぜなぜ分析で深掘りしよう!
「強み・弱み」を見える化するキャリアの棚卸し
キャリアの棚卸しと自己分析は、同じです。あなたの強み・弱みを見える化することが、目的です。「いつ・どこで・どんな仕事を・どんな立場で・どれくらいの実績を出したか」を時系列ですべてリストアップします。
キャリアの棚卸しは、手間と時間がかかりますが、これをさぼらずにできれば、職務経歴書の作成は苦労なく完成します。転職はしないとしても、常におこなうことが理想です。
【キャリアの棚卸し】あなたの強みはどうすればわかる?【効果絶大】
【採用担当が解説】キャリアの棚卸しを手抜きするとどうなるか?【うまくいくものも】
転職活動のうち、最も重要な作業はキャリアの棚卸しです。
履歴書・職務経歴書の作成と求人ニーズのリサーチ
キャリアの棚卸しがしっかりできていれば、履歴書・職務経歴書は簡単です。これを完成させたら、すぐに転職市場のニーズをリサーチしましょう。
履歴書・職務経歴書の作成と修正のポイント
転職活動では、求人ごとに履歴書・職務経歴書の作成は必要ですが、一から作成するのでは大変なので、求人に合わせて修正すれば十分です。キャリアの棚卸しが終われば、履歴書・職務経歴書の作成はインターネットにテンプレが公開されていますので、それを利用するのが早いです。ここまでの転職準備ができていれば、転職活動の8割程度は完了しています。
【採用担当が解説】知らなきゃ損する履歴書・職務経歴書を求人ごとに修正する3つの方法
転職サイトを使った求人ニーズのリサーチ
転職理由・転職の軸が明確になったら、応募すべき求人が明確になります。次にやるべきことは、その求人にニーズがあるかリサーチすることです。おすすめの方法は、リクナビNEXT
などの転職サイトを使うことです。
転職サイトを使う目的は、求人ニーズの調査です。求人数が少ないのであれば、現時点での転職はおすすめしません。しかし求人数は、いつ復活するかわかりませんので、履歴書・職務経歴書までは、完成させておくことが重要です。
転職サイトのビジネスモデルを理解した使い方とは?【おすすめ】

事前準備を怠らず、転職の軸と応募書類を完璧に仕上げておけば、市場が回復した際にすぐにアクションを起こせます。この準備期間を有効活用し、市場を乗りこなしましょう。



